老人と犬
ジャック・ケッチャム, 金子 浩
愛人と一緒に自分のダンナを殺害したところ、
その現場をキ●●イに目撃されてて、ついにはそいつと一緒に
「殺人ツアー」に出る羽目になっちゃう話とか、
隣の家に引き取られてきた女の子を、そこんちのオバハンや子供たちと
一緒になって虐待して、ついには殺してしまう話とか、
再婚したダンナが、一見いい人風なんだけど実はすっげーヤバい男で、
やっとこ生まれた息子がダンナの毒牙にかかってて、
その性的(だけじゃないんだけど)虐待から守るために戦うオカンの話とか、
んもー、ジャック・ケッチャムの書く話はイヤな話ばっかし!!
てゆーか
不快!!
でも不快さの度合いがハンパじゃないので
本屋で見かけるとつい手にとって、レジに向かってしまうの。
そんでもって「うへー」とか「ギャー!!」とか思いながらも
ドキドキしながらページをめくる手を止められない。
そんな彼ですが、
愛犬家ですよ!!
間違いない!!
この本を読んで確信しました。
年老いた愛犬と暮らす一人暮らしの老人。
ある日、ティーンエイジャーのグループに、無碍に犬を射殺されてしまうの。
ただ川のほとりに座って、犬と釣りを楽しんでただけだったのに、
手元に彼らの目当てである現金を持ってなかったってだけで。
そこからこのじいさんが戦うわけですよ!!
犬を殺されたって、保安官は動いちゃくれないし、
テキのリーダーの少年は、地元の名士のボンボンなわけですよ。
親は自分の息子がやったのわかってて庇いつづけるの。
間違っちょる!!!
そんでじいさんは、亡くなった犬の無惨な死体を抱いて
執拗に追い、責めつづけるわけよ。
ただひとことの謝罪の言葉を聞くために。
淡々と書かれる、じいさんと生前の犬の暮らしぶりとか、
もーまぶたに浮かぶようです。
あたしの
脳内ムービーでは、
主演はもちろんクリント・イーストウッドで決まりですよ!
知らない人は「犬を殺されただけで何もそこまで・・」って
思うかもしれない。
でも、読んでいるわたしの気持ちは
まさにじいさんとフィットしまくりですよ!!
あたしだって、もしそんな目に合えばやっちゃいますよ!!
やっちゃいますとも!!!
そして、この作家にしては珍しく、ハッピーエンドなところも
彼が愛犬家であることの証明になっちゃってる気がするんですけどね。
ジャック・ケッチャムにしてはありえないほどの
爽やかな読後感をもたらしてくれましたよ。
じいさんもばりカッチョえーし!!