犬吉
諸田 玲子
ごめん、あんまり期待せずに読んだ。
けど予想外によかったのよコレが!!
いつものように、お昼の休憩のお供として読み始めまして、一人称で語られるお話にぐいぐい引き込まれて一気読み!
舞台は「生類憐みの令」絶賛施行中の元禄十五年(1702年)十二月十五日。
お犬様の保護収容施設「御囲(おかこい)」で働くひとりの女の人の、ハード&ワイルド、そして
ロマンティックが止まらない、超長い一日のお話。
あたしゃ元来、「ロマンスもの」「レンアイもの」が苦手でよぅ。
映画でも本でも、どうにもムズムズしていかん。
主人公たちが悲壮になったり酔いしれたり、カユイカユイ。
ひとの陶酔に感情移入できないんだな。
そんなダメなあたしだけども、世界一好きな映画は意外と
「トゥルーロマンス」。
レンアイもの特有のむずガユさがないことと、主人公(女子)がカッチョよいことがポイントなのらしいわ。
この本の主人公・犬吉は御囲で働くタフな女。
廓出身で、御囲いでも生活のためにときどき体を売ることもある。
リッチなヤング旗本に身請けされてけっこうゴージャスな生活をしてたこともあったけど、いろいろあって御囲いに流れてきた。
御囲いで働くのは、昔いっしょに暮らしてた、愛犬・雷光を探すため。
主人公の犬吉がもう、強くてキュートでかっこよくって!!
物語の中で次第に明かされる雷光の死んだいきさつや、死んだ雷光を探し続ける主人公の気持ちに、ぐっと来る。
元禄十五年、十二月十五日。
赤穂浪士討ち入りのニュースに沸き立つ御囲いの連中。
みんな流れ者で不満だらけで、討ち入りの知らせを聞いて、自分のことのように興奮するのね。そいで犬吉が騒ぎに巻き込まれるんだけど、そのなかでイカスお侍と知り合って、まさに
「トゥルーロマンス・元禄版」みたいなことに!!
銃は無いから刀だけどね!
最後のハッピーエンドかげんもすばらしいよ!!
それにしても「生類憐みの令」ってやつぁ・・・。