マーリー―世界一おバカな犬が教えてくれたこと
ジョン グローガン, John Grogan, 古草 秀子
アメリカで生まれて育ったマーリーという犬の話を読みながら、
アッシュと一緒に過ごしたいままでのことをずーっと順に思い出してた。
飼い主夫婦がマーリーを貰いに行く場面では、アッシュを貰いに行った日のことを思い出し、
マーリーのイタズラ伝説の数々を読んで、アッシュの武勇伝を思い出した。
友達んちにアッシュ連れて遊びに行ったとき、その子のお化粧ポーチをイタズラして
アイラインペンシルをクチャクチャ噛んでだめにしちゃって、めっさ謝ったこととか、
ほんのちょっとの間だからと思って、リビングにアッシュひとりにして二階へ上がり、
用事を済ませて降りてきたら、テーブルの上に乗ってカップのカフェオレを
すっごい嬉しそうに舐めてる現場を目撃したこととか、
散歩に行ったら前後左右に全力で引っ張っぱるし、
しゃがんでウンコ拾ってるときにいきなりロケットダッシュかまされて、
ウンコ片手にしゃがんだ姿勢のまま、うしろへ転がったこともあったなー。
底抜けに陽気なマーリーと、どっちかってゆーと気難しいアッシュでは
気性も全然違うのに、物語の中に共通の何かを見つけて嬉しくなるのはなんでだろう。
45キロの巨体でエネルギー過剰でめちゃめちゃハイパーなマーリーは、
ちょっとはしゃいだら飼い主を引き倒すし、
嬉しくて尻尾を振ったらテーブルの物を全部なぎ倒すし、
柱は引っこ抜くし庭木は引っこ抜くしドアはぶっ壊すし鋼鉄のケージもひん曲げる。
雷恐怖症で(!)留守番中に雷が鳴れば、ガレージ粉砕一歩手前。
無尽蔵なエネルギーは、ふつうの生活ではどうしたって燃焼できない。
でも本犬にはぜんぜん悪気が無くて無邪気で人間大好きで、
飼い主夫婦も持て余しそうになるんだけど、でも「こいつはこういう犬なんだ!」って
理解して愛して、なんとかうまくやっていこうとする。
どうにかしてエネルギーを発散させようと工夫したり、
一念発起して服従訓練教室に通ったり、
そうしてマーリーは家族になっていくのです。
三人の子供の誕生と成長を見守り、頼りない新婚さんだった飼い主夫婦が
ひとつの家族を築き上げる礎になる。
マヌケなイタヅラばっかりしてても、人に褒められるより笑われることの方が多くても、
どんな犬にもみんな一匹一匹いいところがあって、
それぞれの飼い主にとっては、その犬こそが唯一無二の愛犬なわけですよ。
心底難儀した困ったクセも、肝を冷やした大事件も、
振り返ってみればたいていのことは笑い話だよ。
「世界一おバカな犬」は、その「世界一おバカ」なところが最大のチャームポイントなのだ。
ついでに言うと、アッシュは、いまひとつ計り知れないところがチャームポイントなのだ。
こくびを傾げたかわいらしい表紙の写真のマーリーも、
やがて青年期壮年期を過ぎ、少しづつ年老いていく。
関節炎を病み、眠っている時間が長くなり、階段が上れなくなり・・・
どの犬にもどの飼い主にも、確実に訪れるそのときだけど、
それまで過ごした毎日に、犬はそりゃもうすんごいたくさんの事を教えてくれるのです。
どんな犬でも教えてくれる。
おバカでも、へなちょこでも、お調子者でも、ビビリでも、頑固でも。
人間が、耳を傾けることを忘れないようにしていれば。
今、もし若くてやんちゃな犬に手を焼いて困っちゃってる人がいたら、
ほんとうにこの本はオススメです。
具体的な参考には
ぜぇんぜんならないでしょうけども、
ちょっと安心できる。かもしれません。
自分のやんちゃ犬が落ち着いた大人になる日なんて永遠に来ないように思えても、
いつか確実に落ち着くし、そうなったらそうなったで寂しくなったりするんだってば。
飼い主が、息を引き取るマーリーの耳に告げた言葉は
飼い犬が受け取る最大の賛辞なのではないかと、思うわけです。
少なくとも、マーリーにとっては最高に嬉しい言葉だったんじゃないかな・・・。
たぶんアッシュも今、毎日いろんなことをあたしに教えてくれてるとこです。
最近めっきり増えたアッシュの白髪を見ると切なくなるけど、
アッシュはそんなこと全然気にせずに毎日楽しんでるみたいだから
あたしも今を精一杯楽しもうと!!
かたわらでテレビ見ながら欠伸してるアッシュをぎゅーっとしてみました。
そしたら、迷惑そうな顔で立ち上がってバリケンへ入ってしまいました、トホホ・・・・。