ウォッチャーズ〈上〉 (文春文庫)ウォッチャーズ〈下〉 (文春文庫)ディーン・R. クーンツ
夏の再読祭りとして、ウォッチャーズを読みました!
すごく面白かった覚えはあるものの、内容についてはほとんど忘れていたので、初読に近い興奮をもって読むことができました。
たまには押入れの本箱の封印も解いてみるものだな!
この本の魅力はなんと言っても、アインシュタインという名のゴールデンレトリーバーにあります。
遺伝子工学の研究から生み出された人語を解する天才犬!!
辛い過去から半ば世捨て人と化した主人公と、研究施設から逃げ出してきた犬が偶然出会うところから物語の幕が上がります。
アインシュタインを生んだ研究は国家の最高機密であり、逃げ出した犬を探す軍、国家機密を狙う殺し屋、そして犬と同時期に生み出された恐ろしいクリーチャーが、アインシュタインと、アインシュタインを守る男女に襲いかかります。
それぞれの視点をランダムに切り替えながらノンストップで進む物語に、ページをめくる手を止まりません!!
わたしの再読祭りもノンストップ!!
上下巻一気読みでした!!
アインシュタインは、人語を解しながら犬としての感性も失わずに持っていて、まっすぐな信頼や明るさ、生きる喜びに溢れているのです。
イヌと人間はだいたい大まかな意思を通じ合わせることは出来るけど、もっとはっきりと、お互いに言葉を使って話し合うことが出来たら?という、楽しい妄想をお話の中で見せてくれます。
アルファベットのブロックを使って文を綴って会話が出来るんだよ!
会ってみたい!!お話してみたい!!
物語を通して、アインシュタインの持ってる明るさや希望が伝わってくるので、ハードな展開にあっても陰惨さや救われない暗さはありません。
読後感もさわやか!
多分この話、スティーブン・キングが書いたら、もっとこう、後味悪くなるんだろうな…と、似た主題の「ファイアスターター」を思い浮かべながら思いました。
スティーブン・キング御大は基本、マイナー調です。
恐ろしくも悲しい怪物アウトサイダーの出自やアインシュタインへの憎しみに至る経緯を、細かく細かくネチネチネチネチと描写することでしょう。
普通の人々の無自覚な悪意とか、一見ハッピーエンド風でも全くハッピーじゃないとことか、スティーブン・キングの悲観的な視点のやり切れなさもわたしはたまらなく好きなのですが、この本のような、登場人物が基本的にみないい人で、楽観的で明るくわかりやすい物語もまたいいものです!
ただどーしても突っ込まずにいられないのは、
元デルタ・フォースの特殊部隊の隊員のくせに、主人公のおっさん鈍くさすぎるよ!!ということです。
(おっさん言いましたが、わたしのひとつ下です。あ、おっさんで間違いないのか)
「クーンツ、犬」と言えば、
椅子から転げ落ちそうになるくらいアレだった本もありますが、このウォッチャーズは、全てのイヌ好き本好きに、自信を持ってお勧めします!
…根気よく教えたら、あっとちゃんもひらがなブロックで意思疎通出来るようになるんじゃないか、という思いが頭から離れません。
現時点で、イエス・ノーの会話はだいたい可能なんですよ!!
(あっとちゃんはまばたきで返答します)
あっとちゃん用のひらがな練習ブック作らなくちゃ!